海水水槽用の照明ってたくさんありますよね。
安価な機種から目が飛び出そうな高額なのものまで、その種類はさまざま。
その種類もたくさんありすぎて「どれを選べばいいのかよくわからない……。」という方も多いかと思います。その照明について複数回に分けて解説をしていきます。
まずは、どんな機種があるのかについて。
1回目は最もスタンダードと言えるライン型LEDから解説しましょう!
現在(2023時点)の主流モデル
現在(2023時点)の日本のマリンアクアリウムにおいて主流となっているのはLEDです。
ひとくちにLED照明と言ってもいろいろな機種があり、現在主流となっているのは次の3種類です。
上置き型蛍光灯の形を継承したライン型LED。
サンゴ向けの光を出し、複雑なライティングコントロールを可能とした高級機種のシステムLED。
そして、家電用のE26ソケットの規格に適合しているスポット型LED。
これらは特徴がそれぞれ違います。
今回はライン型LEDについて、その特徴について解説していきます。
ライン型LEDの特徴

蛍光灯時代からある形状の、水槽の上に乗せる細長いタイプのLED。
その形から使用する水槽のサイズに合わせたものを選ぶ必要があります。
一般的な海水魚中心の水槽であれば、このタイプの色固定型モデルで充分です。
システムLEDが普及してきた今でもスタンダードな機種で、機能もシンプルなだけに比較的安価な製品が多いのも特徴です。
サイズは水槽の幅に合ったものを
ライン型の特色としては水槽の横幅に合わせたサイズを選ぶことです。
これは水槽の右から左まで光の強弱に差が出ないように設計されているのと、昔からの上置き式蛍光灯の流れを汲んでいるためです。
そのため、専用のスタンドを使って水槽の上に直接置けるのも特徴のひとつです。
ライン型LED(標準型)
ライン型LEDは海水魚用からサンゴ用までさまざまな製品がありますが、光の色が固定されており調光機能のないON-OFFのみのシンプルな機能のものが多数を占めます。
複雑な機能がない分、比較的安価な機種であるといえます。
一般的な海水魚中心の水槽であれば、このタイプの照明で充分です。
海水水槽用としては海の中を再現した青白い光のものが多いですが、深場の海中を再現した青みの強い光を出す製品もあります。
サンゴ水槽などで青い波長域の光が必要なときは、特化した色の製品と組み合わせて使いましょう。
海水魚中心の水槽では1台でもOK
ライン型LEDは照射角が120°に設定されているものが多く、通常のW60×D30×H36cm水槽であれば一通り水槽内を照らすことができます。※製品によっては120°でないものもありますので、必ず確認しましょう。
一般的な海水魚の飼育なら1台のみでも大丈夫です。
サンゴ水槽や海藻水槽では2台以上が推奨
海水魚中心の水槽では1台でも大丈夫です。
しかし、1台だけでは水面近くの領域を完全にカバーはできません。
立体的なレイアウトのサンゴ水槽や海藻水槽のように、光合成で栄養を得る生物がいる水槽では隅々まで光を届かせる必要があります。光量も標準型1台だけでは不足してしまうことが多いため、2台以上を組み合わせて使いましょう。
目安として奥行30cmであれば2台、奥行45cmでは3台の使用がおすすめです。
▶光の色と強さは固定されており、機能がシンプルなことから比較的安価な製品が多い。
▶水槽のサイズに合わせた製品を選ぶ必要がある。
▶光の色は浅場の海水魚用から、やや深場のサンゴ用のものまでバリエーションも豊富。
▶一般的な海水魚のみの飼育であれば、このタイプ1台で充分。
▶光の色や強さは調整できない。
▶水槽のサイズを変えたときに流用が難しい。
▶タイマー制御は別売りのタイマーが必要。
▶サンゴ水槽では2台以上の使用が推奨。
▶主な価格帯は¥6,000~¥20,000。
※上記の価格帯は記事公開時点(2023/9/5)のものとなります。
▼チャームで取り扱い中の海水水槽用ライン型LED(標準型)を見る。
ライン型システムLED
ライン型のLEDにもシステムLEDと同じように調光機能を持った製品も増えています。
サンゴ飼育に向いた機能を多数備えていますが、ハイエンドのシステムLEDと比べると安価な仕様となっているのはうれしいところです。
スマートフォンのアプリで光をコントロール可能
システムLEDの大きな特徴はスマートフォンのアプリで光の色別に強弱をコントロールしたり、タイマー制御することが可能なことです。その機能がライン型の製品にも搭載されています。

※画像はボルクスジャパン「Grassy Wing2」のもの
タイマー制御も単純にON-OFFするだけではなく、色別のチャンネルごとに1分単位の時間+%表示で光の出力を細かく設定することが可能となっています。

※画像はボルクスジャパンの制御アプリ「HME AQUA」のもの
また、製品によっては太平洋や大西洋など世界中の海域の光を再現できるプリセット設定のような特殊なコントロールも搭載しています。
光量は標準型よりも強めの機種が多い
ライン型LEDとしては高級機種となるため光の出力も強めなものが多く、スペック上では平均的な標準型のものと比べて1.3~1.5倍ほどの光量を持つ機種が多いのも特徴です。
またLED素子も幅広い色のものを備えており、サンゴ飼育に特化した仕様になっています。

※同出力でも青いLED素子は白色素子より照度が落ちます(色合いが青くなるほど照度が下がります)
浅場系ミドリイシなど強光を必要とするサンゴを飼育するのであれば増設する場合もありますが、基本1台で完結できる機能を持っているため余分な買い足しをしなくて済むのも魅力。
※サンゴの種類によっては色揚げに特殊な波長を必要とするものもいるので、必要に応じて補色用のLEDを追加しましょう。
サンゴ飼育にチャレンジしたい!という方は、このタイプをメイン照明に選ぶことをおすすめします。
▶LED素子の種類がサンゴ飼育に適した仕様となっている。
▶ハイエンドのシステムLEDに近い機能を持ちながら、比較して安価になっている。
▶色固定式のものより光が強く出る製品が多い。
▶スマートフォンのアプリを使ったコントロールが可能。
▶タイマー機能と、LED素子の色別に強弱をコントロールできる調光機能を備えている。
▶機能が充実している分、高価な製品が多い。
▶主な価格帯は¥13,000~¥40,000。
※上記の価格帯は記事公開時点(2023/9/5)のものとなります。
▼チャームで取り扱い中のライン型システムLED(サンゴ向け)を見る。
▼チャームで取り扱い中のライン型システムLED(海水魚向け)を見る。
※こちらはLED素子数がサンゴ向けと比べて少なめの廉価版(アプリでの調光機能あり)です。
調光式ライン型LED
ライン型システムLEDの廉価版といえるモデル。
こちらはアプリ制御ではなく、本体に付属するコントローラーで光を制御する方式になっています。最近(2023/8月 時点)の流れでは従来の色固定式から調光式に主流が移ってきているようです。
複雑なライティングコントロール機能は省かれていますが、その分ハイエンドなシステムLEDと比べて安価な設定になっているのも魅力。
海水魚中心の水槽でもちょっとしたタイマー制御の機能が欲しかったり、初めてサンゴ水槽にチャレンジしてみたいけど本格的なシステムLEDには手が出ないという方は、このモデルの使用がおすすめです。
調光は付属のコントローラーで

LED素子の各チャンネルごとの照度設定および、6時間/8時間/10時間のワンタッチタイマー設定が行えます
システムLEDはスマートフォンのアプリによる制御を取り入れているため、システムが複雑化し高額になりがちでした。そこで、サンゴ飼育に向いた光の質は維持したままコストを下げた廉価版モデルとして現れたのが調光式のライン型LEDです。
詳細で複雑なライティングコントロール機能は省かれていますが、シンプルな操作でタイマー管理ができるため手間がありません。スマートフォンのアプリ操作が苦手な方でも安心して使える設定になっています。
また、海外製品のアプリは日本語に対応していなかったり、アプリのアップデート後に不具合などで使えなくなってしまうというケースも確認されています。そういったリスクが少ないのもコントローラー制御モデルの強みと言えるでしょう。
従来の標準型のように別売りでタイマーを繋げる必要がないのも魅力ですね。
システムLEDに近い素子構成

調光式ライン型LEDの特徴としては従来の白と青だけの素子ではなく、サンゴの飼育に適した素子を使っていることも挙げられます。
一般的な海水魚だけの飼育であれば、ここまでの性能は必要ありません。
しかし、サンゴの色。特に蛍光色を出すためには特定の波長領域の光が必要になります。
サンゴの色揚げに必要な光を含み、コストパフォーマンスに優れたこの機種はサンゴ飼育の入門用に向いていると言えます。
初めてサンゴの飼育をされる方や「クマノミとイソギンチャクを一緒に飼いたい!」という方は調光式ライン型LEDの使用をおすすめします。
▶複雑なコントロール機能はないが、光の強さを変える調光機能とタイマー機能を搭載。
▶ハイエンドのシステムLEDに近い機能を持ちながら、比較して安価になっている。
▶コストパフォーマンスが高く、サンゴ水槽を始めたい初心者の方にもおすすめ。
▶本体付属のコントローラーで制御するため、スマートフォンなどによる遠隔操作は不可。
▶主な価格帯は¥18,000~¥30,000。
※上記の価格帯は記事公開時点(2023/9/5)のものとなります。
▼チャームで取り扱い中の調光式ライン型LEDを見る。
まとめ
入門機種とも言える最もスタンダードなライン型LEDですが、蛍光灯時代からのシンプルな上置き型を継承した色固定式だけでなく、高級機であるシステムLEDで培われた機能を搭載したモデルも増えてきています。
従来のスイッチをON-OFFするだけのシンプルな機種から、タイマー機能や調光機能など複雑なコントロールを可能としたモデルが主流になりつつある流れは技術の進化を感じますね。
次回はハイエンドクラスの高級機、システムLEDについて解説します。
お楽しみに!
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