皆さんこんにちは、Tです。海水魚やサンゴ育成において重要な関係を持っているライブロック。皆さんはライブロックの色と飼育環境の水質に関係があるって知っていましたか?今回はライブロックの色とその決め手となる石灰藻についてのお話です。
自然の海をのぞいてみよう
今回のテーマ「石灰藻(せっかいそう)」とは何か?を知るためには自然の海を見るのが一番です。ということで、大自然の海中をのぞいてみましょう!
いや~、やはり自然下の生き物たちはみな美しく素晴らしいですね!実はこの写真の中に石灰藻が映っていたのですが気づきましたか?
白い四角のピンク色っぽい部分。枠外にもこの部分はたくさんありますが、これがぜーんぶ石灰藻なんです!そもそも石灰藻って何なのでしょうか?詳しく学んでいきましょう。
石灰藻ってなんだ?
赤や紫色が目を惹くのが石灰藻で、学術的には紅藻(こうそう)のサンゴモに分類される海産植物です。石灰藻にもいくつか種類があります。岩肌を覆うように生えるものやこぶ状や枝状になるもの、葉状になるものなど形はさまざまです。石灰藻全体の特徴として構造の9割が炭酸カルシウムで構成されていることが挙げられます。体内で炭酸カルシウムを沈着させるため、石灰藻の表面は石のように非常に固くなります。
マリンアクアリウムでの石灰藻の位置づけ
海水アクアリウムではライブロックに石灰藻が付着し、全体的に紫からピンクに色づいていることは水質が良い証拠というバロメータになります。その一方で、ガラス面や給排水のパイプ、水流ポンプなどに増殖することで鑑賞性を損ねてしまう一面もあります。
アクアリストはどのようにして石灰藻と接していけばよいのでしょうか?メリットとデメリットの両方の側面から学んでいきます。
石灰藻が発生するメリット
石灰藻が発生することで得られるメリットは次の通りです。
・良好な水質だというバロメーターとなる
・ライブロックの基床を覆い競合するコケや海藻を生えにくくする
・色が美しく自然感あふれる水景になる
良好な水質のバロメーターとなる
石灰藻はサンゴが調子よく育つ水質の環境に似た水質で増殖していきます。石灰藻が多く増殖している水槽は、サンゴ育成・海水魚飼育に最適環境が作れているというバロメーターになるのです。
ライブロックの基床を覆い競合するコケや海藻を生えにくくする
石灰藻がライブロック等を覆うことで競合する茶ゴケやケイ藻類が得る養分がなくなり、これらのコケが発生しづらくなります。また、ライブロックは石灰藻が多くついているほどグレードが高いとされています。
色が美しく自然感溢れる水景になる
先にご覧いただいた写真のとおり、自然環境下ではたくさんの石灰藻が生えています。それを水槽内で再現することは、水質や環境を整えるだけでなく水槽内を自然感あふれる見た目にしてくれます。まさに、水槽内に小さな生態系を作り出すことができるのです。
石灰藻が発生するデメリット
魅力的な石灰藻ですがデメリットはあるのでしょうか?
・ガラスを覆うと視界が悪くなる
・濾過槽などに発生すると機材の大がかりな清掃が必要
ガラスを覆うと視界が悪くなる
ライブロックなどのレイアウト素材を覆うぶんには何の問題もありません。ただし、ガラス面は別です。石灰藻もコケの一種ですから、当然ガラス面に発生する場合もあります。少量なら許容範囲ですがガラスの大部分を覆うとなると、いくらよい環境のバロメータであっても美観を妨げる要因となってしまいます。さらに、ガラス面から水槽を見れなくなると水槽内の異常に気付きにくくなることが想定されます。マリンアクアリウム用のスクレーパーが各社からリリースされています。それらを活用してこそぎ落とすとよいでしょう。
濾過槽などに発生すると機材の大掛かりな清掃が必要
石灰藻は構造の9割が炭酸カルシウムでできているといわれています。一般的なコケとは違って非常に硬質なのが特徴です。炭酸カルシウムが濾過槽などに蓄積するとその部分に石灰藻が発生することもあります。放置しているとどんどん堆積・増殖していきサンゴ飼育に支障をきたす恐れが出てきます。その場合、機材を取り外して薬剤に浸すなどの少し面倒な処置が必要になります。
加工はしにくいですがガラス製の濾過槽にすると石灰藻が生えにくくなります。
石灰藻を増やすにはどうしたらいい?
ここまで読まれた方は「石灰藻を増やしたい」と考えている方も多いでしょう。では、どうすれば石灰藻を増やすことができるのでしょうか?
その答えは1つ。「サンゴの育成環境に合った環境を作る」です。先述した通り、サンゴの状態が良くなる環境と石灰藻が増殖しやすい環境は非常によく似ています。このことから「サンゴの状態がいい環境=石灰藻が増殖するスピードが速い環境」と考えていただいて構いません。
ここでサンゴの育成において大事なことをおさらいしておきましょう。
サンゴ飼育に適した環境であれば自然と増えていく石灰藻ですが、増殖を手助けする添加剤があるのでそちらをサポート役として活用してもよいでしょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
サンゴと石灰藻の関係についてお分かりいただけたでしょうか?水槽内での石灰藻の発生は総合的には非常によいことなので「コケが生えた!」と焦って除去せずにそのまま増殖させておくのがよいでしょう。ただし、ガラス面や配管類で発見した場合は早めに対処しておくことをおすすめします。
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